手、指、手首
症例4 パソコンを使うと手首が痛む
患者
2018年12月 女性 30代
症状
事務職で1日中パソコンを使用していて最近になって右手首に痛みを感じるようになる。
日に日に痛みが増したので整骨院に行くと「最近よくいうマウス症候群とかパソコン腱鞘炎とよばれる腱鞘炎ですね」と言われてベッドで仰向けに寝て電器と温める機械をされ、その後に肩や上肢をマッサージしてもらったとのこと。
その整骨院へ数日通って最初は楽になったがその後痛みが以前より増してきたのでそこへは行かなくなった。
仕事も休めずサポーターをしてだましだまし手を使うが痛みは変わらず、困っている時に知人から鍼灸でばね指が良くなったと聞いて鍼を受けてみることにした。
治療内容
所見は指にしびれなどはないが、手関節の動かすと痛みが強く、最近は前腕にもダル重いような違和感が出てきたという。
肩甲骨、背中の反応がみられる。頚の筋緊張もあり、臀部に反応があった。
初回は背中、肩甲骨、手のツボへ鍼をする。
手首を動かしてもらうと6割がた良いとの事。
3日後に前回同様のツボへ鍼をする。週1~2回、全5回で段々痛みが無くなってきたとの事で終了する。
使用したツボ
T2(1)R、T3(1)R、肩貞R、六谷R、陽輔R
考察
局所にマッサージをして良くなる事もあるが、逆の結果になることもある。一時的にほぐされるが強さの問題などもあるが適した刺激量を越えるとかえって筋緊張が強くなる悪化することがある。
症例3 ピアノ練習での親指つけ根の痛み
患者
2018年10月 女性 30代
症状
自身が働く介護施設での行事で以前やっていたピアノを弾くことになり、何年かぶりに演奏練習をはじめたとの事。毎晩長時間の練習で徐々に親指の辺りに違和感を感じたが練習は続行したという。
気がつくとピアノをしていない時も親指に痛みが出てきたので一度近くのクリニックへ受診すると「ドケルバン病と言う腱鞘炎です」と診断される。
手首を動かさなようにしばらく安静にしていれば痛みは治まるとの事だったが、2週間たっても痛みがあるので知り合いの鍼灸師に相談する。
治療内容
所見は右拇指を動かすしたりフィンケルシュタインテストで痛みが出る。炎症はない。他は姿勢がやや猫背気味で肩がこりやすく目が疲れやすいとの事。
拇指の痛みは特に外側(橈側)に強く、背中と肩甲骨に反応がある。後頭部にも圧痛がありふくらはぎに反応がある。
背中、肩甲骨、ふくらはぎに鍼をする。
親指を動かしてもらうと痛みは半分くらいとの事で、初回は終了して1週間後に次回施術をする約束をした。
2~3回目も前回同様のツボに鍼をする。痛みは少し減るがまだ残っていた。
4回目に痛みがまだあるので他に何かないかもう一度チェックしてみるとお腹と肩、仙腸関節に反応があったので足のツボを追加すると拇指の痛みもかなり軽減した。それ以降全6回で痛みがなくなったところで終了としました。
使用したツボ
T1(1)R、ふくら1R、承山R、T7(1)R、三陰交R
考察
ピアノやヴァイオリン、楽器の演奏、または仕事上でのパソコン、マウスの長時間の使用で指や手首を酷使して腱鞘炎になった場合、その指や手首の安静だけでは治りづらいこともあります。
また指だけの問題ではなく首、肩、背中の過緊張や不良姿勢、またはホルモンも関わりがある事があるので全体を診ないと痛みが長引いてしまう事もあるので注意が必要です。
症例2 左親指のばね指と中指つけ根のこわばり
患者
2018年8月 女性 80代
症状
3ヵ月位前から左親指が曲げ伸ばしするとカクカクと引っかかるようになったとの事。左中指は手の平側で指のつけ根辺りにこわばるという。
リウマチと思い病院へ行くがRA検査は陰性だったとの事。
治療内容
診ると親指は曲げた状態から伸ばしてもらうと伸びきる前にカクッと引っかかっていしまう。指の変形などはないが常に腕全体がだる重いとの事。
背中と肩甲骨に鍼をする。置鍼しながら指を動かしてもらうと徐々に引っかかりが少なくなっていく。
最初の症状から半分以下になったのでその日はそこで終えました。
前回同様のツボを使用し週1回施術し、3回目でほとんど引っかかりを感じないとの事。
主に使用したツボ
T1(1)L、ふくら1L、六谷L
考察
最初背中に鍼をすることに患者さんは不思議そうな顔をされましたが、症状が改善していくことを実感できたと思います。手や指に鍼をすると痛いのでこの方法なら痛くもなく即効性もあるので患者さんの負担も少ないです。
症例1 右手指のこわばり、曲げると痛く、グーが出来ない
患者
2018年8月 男性 50代
症状
建設関係のお仕事でここ数日間、振動の出る機械で作業をしていたら段々と右手のこわばりが増してきて、今朝は起きたら手が握れなくなっていて、コップを持つのもやっとになったという。
治療内容
手を診てみると熱感はないが手全体が腫れぼったい感じで手の平がまめだらけである。しっかりとグーを握りこめず特に第2指から第4指の動きが悪く手の平にくっつかない。
背中を触診すると右に反応があることが分かった。
そこで背中に鍼をして置鍼したまま指を動かしてもらう。
しばらくするとスムーズになってきて手の平に指先がくっついてきた。
第3指がまだ症状が残っているで肩甲骨のツボへ鍼をすると第3指も握れるようになってきたので施術を終える。
主に使用したツボ
T2(1)R、T3(1)R、T4(1)R、ふくら3R
考察
最初診た時の手の動きの悪さから数回かかりそうだと思いましたが、思いのほかすぐに症状が良くなって安心しました。症状がでてすぐに鍼をすると治りも早いことを実感しました。