膝
症例3 膝に水が溜まる(水腫)、膝の内側が痛い
患者
2019年1月 女性 40代
症状
営業の仕事で一日中歩く事が多い。
時々膝が痛くなったり足がつったりするので整体やマッサージに行き全身をほぐしてもらう。
今回は膝の上の方が膨らんできて膝の内側も痛く足を引きずりながらマッサージに行ったが、膨らみと痛みは一向に変わらなかったという。
翌日に整形外科を受診しレントゲンをとり医師から「骨に異常はなくきれいだけど、水が溜まっているから抜きますね」と注射で水を20cc抜かれ、その後ヒアルロン酸を注入されたそうです。
後はモーラステープが処方されている。
しかし膝の痛みは変わらずに、しかも3日後にまた同じところに水が溜まり膨らんで来ました。
仕事も休めずに足を引きずりながら営業に回ったそうです。
ネットで検索したら鍼灸院がでてきたので次回の休みの日に予約をする。
治療内容
所見は右膝蓋骨の上に水腫があり、両膝内側に圧痛がある。屈伸動作では立ち上がりよりしゃがむ方がきつい。
背部、腰殿部、大腿後面、下腿後面などに筋緊張が強く圧痛もある。
背部、臀部、大腿後面のツボで膝を整える目的と水分代謝を促す目的で鍼をする。
抜鍼後にしゃがんで痛みをチェックしてもらうとかなり楽にしゃがめるとの事。
膝内側のピリッとした痛みは残るものの初めと比べると大分ましで足を引きずらないで歩けるので初回はこれで終了とする。水腫もあるが少し減ったようにみえる。
週2回で全5回で歩行痛、膝内側痛消失する。水腫はわずかに残るが本人いわく「痛みがないのでこのまま経過みて悪くなったらすぐに来ます」との事。
使用したツボ
T9(1.5)L、膝根L、内眼裏L、委陽L
考察
膝痛があると腰部や臀部に反応が良くみられます。患部が悲鳴をあげる前に体からの異変のサインに気づければ注射などは回避できた可能性はありますが仕事が忙しいとなかなか難しいですね。
症例2 膝のお皿(膝蓋骨)が割れるように痛い
患者
2018年11月 女性 90代
症状
以前よりかかりつけ医師にレントゲンの結果「変形性膝関節症で膝の軟骨も減っていて上手に付き合っていくしかない」と言われたらしい。
また「年齢も考慮すると膝の人工関節の手術も無理です」との事。
ここ数日は膝痛が増して、膝を少しでも曲げようとするだけで「お皿が割れる」と声に出てしまうほどの痛みがあり、家族にもう一度整形外科に連れて行ってもらうと痛み止めと塗り薬を処方されるのみとの事。
数日様子をみるがかえって痛みが増してきたので知り合いの紹介で鍼をすることにした。
治療内容
所見はかなりO脚気味で、右膝蓋骨を中心に上、内側、膝蓋骨上に圧痛があり、痛みが強いので膝を曲げることはできない。
右胸椎の際と右臀部に反応があるのでそれぞれに鍼を行う。
しばらくするとゆっくり膝を曲げられるようになる。「お皿が割れるような痛み」も半分以下になっていたので初日はそこまでで施術を終える。
3日後に同様の施術をすると膝の痛みと膝蓋骨(お皿)周囲の痛みはほとんどないという。
翌日になると全く同じ痛みが左膝に出現。所見も同じでまた同様のツボを左膝に行う。
3日おきに4回行い膝の痛みは消失した。
使用したツボ
膝根R、内眼裏R、T9(1.5)R
その後
膝根L、内眼裏L、T9(1.5)L
考察
膝の痛みが強いと歩行も難しくなり動くのも億劫になってきてADLも低下していきます。
そうなると内臓機能も低下しかねないので早めに適切な施術ができ少しでも痛みを緩和させる事で予後も違ってきます。
この方は今でも無理のない程度に歩行練習を続けていて独歩しています。
症例1 両膝が立てないほど痛く、人工関節をすすめられた
患者
2018年10月 女性 80代
症状
数年前から日に日に両膝の痛みが強くなってきて病院でレントゲンを撮ると「軟骨がすり減ってきているので、人工関節も考えておいてください」と言われ湿布を処方される。
自分で湿布を貼ったり、下肢の筋力がつくという体操をしたがここ最近痛みが強く立つ事もつらくなってきた。
家族から車椅子を準備してもらう。
鍼は怖いので一度もしたことないが藁をもつかむ思いで鍼施術を受けてみることに。
治療内容
常に両膝が痛むが今日は特に左膝の痛みが強い。
ベッド上で膝の曲げ伸ばしをしてもらうと左膝の動きが悪く痛みも出る。横向きで臀部を触ると反応があるのでそこに鍼をする。
しばらくしてから膝の曲げ伸ばしをしてもらうと動きやすくなっていたので後日右側の膝の治療をしようと約束しその日は終える。
後日行くと歩いていたので「痛みは?」と聞くとあの後両膝の痛みがかなり減って歩けるようになったとの事。
主に使用したツボ
膝根L
考察
すごく鍼を怖がっていたが、鍼刺激を感じなかったので「本当に刺したの?」と何度も聞いていた。
通常は膝痛の施術は数回が必要なのでと説明して本人もそのつもりで「しばらく通います」ということでしたが、今回は痛みの強い左膝を治療して良くなったら右膝の治療をと考えていたのが予想外に両方良くなった幸運な例。