肩
症例3 肩関節周囲炎での右肩の運動痛
患者
2019年2月 男性 50代
症状
最近肩を動かした時に痛みを感じていたが、運動不足なので動かした方が良いと考え、久しぶりにゴルフの打ちっぱなしで練習をした。
翌朝起きると右の肩が挙がらなくなっている事に気づき強引に挙げようとすると激痛が走る。
整形外科を受診してレントゲンをとり医師から「肩関節周囲炎、いわゆる五十肩ですね」と言われしばらく安静と通院するよう説明される。言われる通りに通院しヒアルロン酸の注射や湿布を処方されるが痛みと可動域は変わらず腕が挙げられなかったとの事。
1ヵ月以上通院するが良くならず前より肩が挙がりづらくなってきたので焦っているところに知人から鍼が効くと聞いたのでインターネットで検索した。
治療内容
来院された時には拘縮期に入ったようで強い痛みはやや落ち着いてきたかわりに関節が硬くなりかけていた。
屈曲・外転は90゜、後ろに手を回す動作が痛い。腕を動かすと肩の後面に痛みが強く出るとの事。
背中に反応があり、股関節の動きも悪い事が分かった。
足のツボと背中のツボへ鍼をする。
もう一度肩を動かしてもらうと屈曲・外転ともに100゜を越えて痛みも減っていた。本来の動きまではまだまだだが初回はこれで終了して週1~2回の施術を予定する。
2回目以降も同じツボへ施術する。腕が挙がる角度も徐々に良くなり痛みも軽減していく。全12回目で痛みも角度も本人が納得し終了とする。
使用したツボ
足太陽R、T4(1)R、T6(1)R、肩甲骨返し(活法)
考察
急に始めた運動が引き金となり五十肩になったかもしれないが背中の張りを取らなかったらもっと長くかかったかもしれない。実際、五十肩で1年以上かかって痛みがとれ、気づいたら関節が固まっていたというケースも何回か聞いたことがある。
症例2 朝起きたら右肩が挙がらなくなっていた
朝起きたら右肩が挙がらなくなっていた
患者
2019年1月 女性 70代
症状
1ヵ月前に朝起きて右の肩を動かそうとしたら肩に痛みが走り、それ以降腕を顔より上に挙げられなくなり洋服を着る動作や顔を洗うだけ動作でも痛みが出る。
その前日までは全く普通に動かせていたらしい。
1年前に自宅で転倒して左大腿骨頚部骨折で入院しておりその間に下肢の筋力が低下して最近は自宅で歩行器につかまって歩行をしていた。今は歩行器につかまる動作でも肩に痛みが出るので歩くのが億劫との事。
かかりつけの医師に「五十肩だね」と言われ湿布を処方された。そのうちに良くなるだろと思っていたが今だに全く良くならないので鍼を試してみることに。
治療内容
所見は自動で外転70゜、前方挙上80゜、熱感は感じない。
歩行時に左足をかばうせいかの少し右膝がつらそうなので聞いてみると、以前から違和感を感じていたという。
腰、右大腿の後ろ、脊柱の際に反応が有りそれぞれに対応するツボへ鍼をする。
初回は外転90゜前方挙上90゜の改善だったが痛みはかなり減ったので年齢も考慮し出来る限り低刺激で少し通ってもらう事に。
週2回、全8回、約1ヵ月半でほぼ可動域ももどり痛みも無くなる。
使用したツボ
申脉R、T9(1)R、殷門R、鍼の後は毎回活法の肩甲骨返しをする。
考察
あとでご家族に聞いた話では肩が痛くなる前から歩行器を使用する際、かなり歩行器に寄りかかるような姿勢で腰も曲げて歩いていたそうです。
そういった不良姿勢が徐々に下肢や腰に負担がかかりその影響が背中や肩にも波及していったのかもしれません。
症例1 原因不明、3ヵ月前から左肩が痛い
患者
2018年9月 男性 20代
症状
3ヵ月前に朝起きたら左肩に激痛が走り、腕が前方・横方向ともに90゜くらいしか上げられなくなった。原因は全く思い当たらずぶつけたりなどの外傷もなかったとのこと。
近所の整骨院に行ったら「筋肉の炎症」と言われマッサージを受け施術後は少し楽になるがしばらくするとまた痛みが強くなってくる。
次に近所のクリニックへ受診すると「肩関節周囲炎」との診断され湿布のみ処方され貼ってみるが痛みと肩の動きは悪いまま。全く変化しなかったという。
治療内容
所見は左肩、自動で外転85゜、前方挙上90゜、他動だと外転160゜、前方挙上170゜、熱感有り、左鎖骨周囲に圧痛強、叩打痛はなし、ドロップアーム、ペインフルアークサインは陰性。左股関節に違和感があるという。
右のふくらはぎのツボを押さえながらだと肩は上まであがる。
施術後、可動域は改善したが痛みは10から8とあまり変化なかった。1週間後の予約をして初回を終える。
3日後に偶然会った時に、施術の翌日に朝起きると全く痛みがなくなっていたとの事。
使用したツボ
承山L、申脈L、志室L、後谿L
考察
当初、痛みと可動域制限が強かったので施術前に本人に精査をしてみたらと提案したがとりあえず鍼を試したいのでという事でした。
可動域はすぐに改善したが痛みは変わらなかったので心配したが翌日嘘のように痛みがなくなったという事でお互い喜んだ。その後も会った時に痛みはぶり返してないそうで安心した。
ふくらはぎの反応が強く出ていたので見逃さないくて良かった。