腰
症例3 座った状態で下の物を拾おうと手を伸ばした瞬間に腰がギクッとした
患者
2018年11月 女性 60代
症状
既往歴で以前に病院の検査で骨粗鬆症と言われた事がある。
5年前に尻もちをついて転倒した際に腰椎圧迫骨折をしたとの事だがその後は腰に痛みも無く過ごしていたという。
今回は床に座っての動作後に立ち上がるのが面倒でついついイスに座ったまま前屈みをした瞬間に「しまった」と思ったそうだが、そのまま腰に激痛が走り動けなくなったという。
これがぎっくり腰かと思いしばらく様子を見るが痛みが変わらないので往診の鍼灸を依頼する。
治療内容
右腰部に熱感あり、圧痛も強く、動作はどれも辛いが特に前屈が痛みが強い。
胸椎、腰椎、手のツボ、足のツボに反応があるので関連するツボに鍼をする。
少しづつ痛みが減り、何とかトイレには行けるくらいになったので初回は終了し2日後の予約をする。
2回目、同じツボへ鍼をする。右腰部の痛みは少し減ったが左腰部に違和感が出てきたとの事。
3回目以降同様のツボへ鍼をする。動きも大分よくなるがまだ不安定な感じが残る。
週2~3回、全10回で違和感もないとの事で終了としました。
使用したツボ
後谿R、玉人LR、飛陽LR、精霊R
考察
ちょっとした何気ない動作が元でギックリ腰になることがあり急に起こるイメージがありますが、それまでに気づかずに体の冷えや筋肉の疲労やバランスが崩れていることが原因になる事もあります。
症例2 座っているだけで腰が痛く、椅子に当たるお尻も痛い
患者
2018年8月 男性 30代
症状
以前から腰に違和感があり、ここ最近座っているだけで痛くなり、痛みの度合いも増している。特に臀部の椅子と接するところが痛いとの事。
事務職でどうしても長時間座ることが多いため腰の痛みが時折出ていた。
学生の時にサッカーをしている際に腰を痛め足にしびれが出たので整形外科へ受診すると「腰椎ヘルニア」、「坐骨神経痛」と診断された事がある。
今は足のしびれはない。
治療内容
所見は左腰下部と左坐骨結節付近の痛みがあり、座位から立ち上がる時に腰が痛むとの事。腰を後ろへ反らしても痛い。
下肢のツボに鍼をした後は座っても坐骨辺りの痛みはでないとの事。
立ち上がり時の痛みも7割良いとの事。
3日おきに同様のツボへ鍼をする。座位のまま体を捻ると痛むので1穴追加する。
4回目でほぼ気にならないという事なので終了とする。
主に使用したツボ
陽輔L、玉天L、光明L
考察
仕事がら長く座っていると腰が落ち着かなくなったり、痛みが出るという経験があるという人はよくいます。
こういう症状にも鍼が有効的ということがもっと広く認知されるようになれば良いと思います。
症例1 腰部、臀部痛
患者
2018年7月 男性 70代
症状
早朝トイレに行こうと2~3歩足を出したところで突然腰が痛くなったとの事。なんとか這うようにベッドまで戻り横になって安静にする。
「これはぎっくり腰かな」と思ったそうでしばらくじっと休んだら動けるかなと様子をみることに。
だが起きようとすると腰に強い痛みが出て起き上がれなくなり以前かかったことがある鍼をしてもらおうと連絡する。
治療内容
仰向けから座位の姿勢に起き上がれない。痛む場所は右腰部である。
腰部の脊柱右側に若干反応あり。
腰回旋での痛みがあると思ったのでふくらはぎに1カ所鍼をする。しばらくしても痛みが変化しない。
もう一度確認しようと痛いのに頑張って動いてもらうと、前屈がすごい痛がるので腰下部右側に反応あり腓骨の近くのツボへ鍼。
今度はなんとか座れるようになったが次は臀部が痛いというので、追加で下肢の外側に鍼をする。
その後ゆっくり歩行もできるようになる。1週間後に同様のツボを使用しほぼ痛みないという。
主に使用したツボ
玉人L、陽輔L
考察
腰痛でも様々な症状があり、また痛みが出る動きも色々ありそれらに対応するツボを的確に選穴しないとと思いました。
痛みが強い時になるべく負担の少ない診断を工夫しなければ患者さんが大変になってしまう。
あとで思うと頚もしっかり診ておけばと反省しました。